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高木氏が答えていない点。
小倉弁護士このエントリ高木浩光氏このエントリにの間で議論が交わされるているようだ。小倉弁護士は高木氏のコメントこのエントリで答えている。興味深い議論になりそうである。壇弁護士のblogでも取り上げられている。僕としては、基本的には小倉弁護士の議論に同意している。この議論によって両者で同一の理解が得られることが重要だと思う。しかし、ちょっと僕が疑問に思っていることは、高木氏がある立場に立っていて、それに対する反論には答えていないように思える点である。
高木氏はこのエントリにおいてWinnyに似た実装を持つMARIEについて言及し、次のように述べている。
はてなダイアリー - 高木浩光@茨城県つくば市 の日記
しかしここで一点、疑問がある。なぜキャッシュファイルを暗号化するのだろうか。

「違法と思われるファイルがキャッシュに入っているのに気付いた場合,削除してください」というのであれば、違法かどうか確認しやすいように、キャッシュファイルを暗号化せずにおけばよいのではないか。
これに対して、小倉弁護士は、違法ファイルを高木氏の言う「放流」するためには、キャッシュを暗号化しないほうが、「放流」したのか、単にキャッシュとしておいたのかが区別がつかないとした上で、次のように答えている。
benli: キャッシュと暗号と幇助
そう考えると、「キャッシュファイルを暗号化して中継コンピュータの使用者には内容がわからないようにする」というWinnyの仕様は、違法ファイルの送信に利用することに特に向けられたものであるとまでは言えないのではないかいうこともできそうです。むしろ、同一ネットワークに接続している他のコンピュータに「キャッシュファイル」を作ることで負荷を分散するというシステムを、真っ当な内容の電子ファイルの送受信にしか興味がない人々にも使用してもらおうと考えたら、「キャッシュファイルの内容には一切関知できない」しようにするということは、まず最初に考えることなのではないかと思うのです。
この論理は、僕は納得できる。しかし高木氏は納得しないだろうと思う。

なぜなら、高木氏が求めていることは、自分が「放流」していないということを示す証拠ではなく、他人が「放流」したものであっても、自分の計算機に放置されたもので削除すべきものは削除しなければならないというモラルを持っているように思えるからである。小倉弁護士はそのような義務をすべての人に求めるべきではないと考えているように思われる。

何がこの違いを生むのだろうか? 僕が考えるこの違いの本質的な違いは、ファイル「放流」に対する認識の違い、さらには「放流」のもたらす「プライバシー侵害」に対する認識の違いによるように思える。結局のところ、そのような「プライバシー侵害」がもたらす社会的損失と、新しい技術のもたらす「社会的利益」(おそらくそれは「言論の自由」をより拡大することだろう)を比較考慮すべきであるように思える。

高木氏は「プライバシー侵害」による社会的損失が「言論の自由」の拡大による社会的利益を勝っているという前提に立っており、小倉弁護士は逆の前提に立っているように思える。両者ともに自分の前提が正しいことを示す必要があると思う。

個人的な見解としては、高木氏は5月16日の日記で「万が一何らかの権力構造の変化が起きたときなど、いざというときに完全な表現の自由を確保するため、そうしたアーキテクチャの実現可能性を探求する研究は重要であり、いつでも利用できる準備を整えておくことに意義はあるだろう。」と述べているが、万が一何らかの権力構造の変化が起きた後では遅いという意見に対しては、明確な反論がないと思う。「言論の自由」を正しく確保するためには、万一の場合を起こってから考えるということでは遅いので、事前に可能な技術を実装しておくことは、ありえる選択肢であると思う。その際に「プライバシー侵害」を無視していいということではないが、「言論の自由」のためにデフォルトが送信の匿名性を持つべきという見解に対して、高木氏はおそらく意識的に無視しているように思える。あるいは彼には自明な論理があるのかもしれないが。この点は前のエントリ(ちょっとこのエントリは後半の議論が混乱しているので、前半だけ読んでください)でも書いたとおりである。

この議論の結果として、両者が認識の根本的な違いを理解すればよいと思うが、僕にはこの点が両者の違いであるように思える。


p.s.
全くこの議論には関係ないが、高木氏の15日の日記の最高裁のwebページに対する彼の見解には完全に同意する。これはひどい。また、14日の日記の「「不幸の手紙」だが、「そういうことはやめなさい」といった話はあまり聞くことがなかった。」というのは驚いた。不幸の手紙は学校の先生に怒られる優先順位の高いものだと思っていたけど。高木氏のところではそうではなかったみたい。


8/20追記
このエントリに対する高木氏の反応がここにある。議論するに値しないのだそうなので書いてもせんないことだが、MARIEの作者が、「違法と思われるファイルがキャッシュに入っているのに気付いた場合,削除してください」と言っているにすぎない。「MARIEはより違法ファイルが気づきやすいように改善することが技術的に可能である(もしくは、不可能である)」と書くのは価値中立的(価値に対して相対的)な言明であろう。しかし、「MARIEはより違法ファイルが気づきやすいように、(可能なのだから)改善するすべき」と書いたら、それは僕には価値中立的な言明とは思えない。たぶん高木氏はそのようには書いていないということであろう。
| 気になること | 23:35 | comments(4) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
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コメント
高木氏は、万人が
「自分の計算機に放置されたもので削除すべきものは削除しなければならない」
というモラルを持てと求めているわけではないよ。

高木氏が言ってるのは、もし仮に
「自分の計算機に放置されたもので削除すべきものは削除しなければならない」
というモラルを持っている人がいて、その人がそのモラルに基づいて
そのような行動をしたいと思ったときに、
そもそもそれが意図的に行えないようになっているシステムは、
なんなんだ、ということ。

違いがわかるかな?
匿名性とも関係ないよ。
「プライバシー侵害」と「言論の自由」の相克の問題ですらない。

「プライバシー侵害や違法行為をユーザが行わなくても良い自由勝手に、無意
識にそれに加担しちゃうようなことをさせられなくても、ちゃんと正当な目的
のためにP2Pソフトを使う自由」を求めてるわけよ。

| ruriha | 2004/08/21 11:10 PM |
rurihaさん

コメントありがとうございます。

なるほど、そういう見方もできるでしょうか。でも、それならば「そのような行動をしたいと思った」人は、そのMARIEを利用しないという選択肢もありますよね。P2PソフトはWinnyやMARIEだけというわけではないのですから。そもそもMARIEなんて、普通の人があまり聞いたこともないソフトを取り上げて、実装の仕方について議論しているのは、なぜなんだろうと思ってしまいます。

その上、僕はちゃんと仕様について書かれたものを呼んでいませんが、高木氏のエントリに載っているところだけでも、ファイル名はMD5値を使っているという仕様は公開されているわけですから、違法ファイルの名前を知っていれば(面倒ではあると思いますが)自分のキャッシュに入っているものが違法ファイルかどうか、判別可能かもしれませんし、キャッシュはRC4 encryptionのようですが、暗号鍵はユーザーは分かっているようなので、中身を知りたいと思えば知ることはできるわけですよね(こちらも面倒ではありますけど)。

その上で、高木氏の主張は、より違法ファイルを見つけやすい方法を提案していると思います。それ(違法行為をしないP2Pの使用)が意図的(この言葉は議論の余地があると思いますが)に行えないようになっているシステムは、なんなんだ、と言わなければならない理由は、なんなんだ、ということが僕の考えたいことです。

> 「プライバシー侵害や違法行為をユーザが行わなくても良い自由勝手に、無意
> 識にそれに加担しちゃうようなことをさせられなくても、ちゃんと正当な目的
> のためにP2Pソフトを使う自由」を求めてるわけよ。

その自由のためにはMARIEを使わないのが一番で、このソフトがP2Pソフトのデファクト・スタンダードになっているわけでもない現状で、このソフトに注文をつける理由が疑問ではないですか? どんなソフトを使っても、この自由があることが必要なのでしょうか。分かりました。その自由も重要かもしれません。しかし、そのために失われるものがあるとしたら、価値中立的な議論は難しいように思えますし、行き着くところは見えているのではというのが、このエントリに主張です。
| netwind | 2004/08/22 9:13 PM |
「違法と思われるファイルがキャッシュに入っているのに気付いた場合,削除
してください」と書きつつ実装上「気づきにくくする」ことについて、ユーザ
から見えるソフトウェアシステムとして一貫性がない、ということ。

MARIE作者が「違法と思われるファイルがキャッシュに入っているのに気付い
た場合,削除してください」書いているということは、「違法行為をしないよ
うに」とユーザに対して要請していることになる。

しかし、そのような要請をしたうえで、同じ開発者がシステム上(技術的に気
づきやすくすることは可能なのにあえて)それを気づきにくく(面倒に)する
ことはユーザに対するソフトウェアシステムの見え方の一貫性において矛盾し
ている。

「違法行為をするな」-「でも、それをするのを難しく・面倒にしてるんだけどな(藁」

というユーザに対して矛盾したサインを出しているシステムである。
この矛盾は何を意味するのか?(=いったいなんなんだ)...(1)

(1)は私が追加したことです。
高木氏は(1)の直前までをただフラットにニュートラルに
つらつらと述べているだけ。

「この矛盾が何を意味するのか?」に対する価値判断を含めた私の印象は、
くだんの注意書きは、いざ司直の手が伸びたときの追及に対しての、
口先だけの責任逃れとして張ってある予防線だ、ということです。
ほんとは違うかもしれんけどね。ただそう見える。もしそうなら、いいわけすんな、
そんなの言い訳にもならんぞゴルァということです。
| ruriha | 2004/09/22 2:46 AM |
ruihaさん、コメントありがとうございます。

一応主張は理解しているつもりですが、僕が言いたいことは「気づきにくくしている」というのは主観的な判断だ、ということだけです。その他の点については、高木氏やruihaさんの言っている通りなのかもしれませんし、そうでないかもしれません。

いずれにしても、この点で、たとえ技術的に「気づきやすくする」ことが可能であろうとなかろうと、主観的な、価値中立的でない主張をしているということに、気づいてくださらないかぎり、この問題の収束点は見出せないだろうというのが、僕の主張です。

(1)は、ruihaさんが追加したのではなく、高木氏もそう述べている気がしますが、まあ、それならば、僕の批判はruihaさんの考え方に向けられたものかもしれませんね。
| netwind | 2004/09/22 3:07 PM |
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